[富山] 何となくすっきりしないけど, 多分現段階では良い評価をしたら良いだろう技術2012年01月10日 21:36

 飲み物や紙パックに張られている, 薄いアルミニウム箔は,
富山市では燃やすごみ扱いになっています。
そのまま捨てて燃やされるのであれば,
「電気の缶詰」と呼ばれ, 多くの電力を使って得られたこの素材を
有効利用しよう, という目的(だと思います)で,
このアルミニウムを化学反応させて,
水素を発生させ, これを燃料電池に使うことで,
発電しようという研究が,
今日の富山の報道会社から報道されたようです。(*1)
この研究は, 「北陸グリーンエネルギー研究会」(*2)という団体による
成果のようです。

 捨てられる素材なのだから,
有効利用するのは, 悪いことではない, ような気がするのですが,
私はこの技術に対して??と思うところがあります。
それは,
(1)高純度アルミニウムを得るために,
高温加熱をするため, 恐らく多くのエネルギーを消費していること,
そして,
(2)水素発生に際して, アルミニウムを水酸化ナトリウムと
反応させているところです。
(1)は, 多分, アルミニウム箔とくっついている物質のみを燃やして,
アルミニウムを取りだしているものと思われます。
(2)は, 2Al + 2NaOH + 6H2O--> 2Na[Al(OH)4] + 3H2
という化学反応を使っているものと思われます。
アルミニウムが「電気の缶詰」と呼ばれるように,
それを作るのに多くの電気を必要とするのですが,
水酸化ナトリウムの製造は, 電気分解なので,
それなりの電力を消費します。
となると, 燃料電池の電力源となる水素を得るために,
既に相当量の電力を消費して得られる物質を使うことになります。
アルミニウムが, 何もされずに
紙ごみやプラスティックごみと共に燃やされるよりも,
本当に環境負荷が小さくなるのか,
それが私の疑問なのです。
計算したいけれど, 暇がない(^^;。
ちなみに,
> 500 gのアルミで200 Wの電気を
> 約1時間にわたって安定して発電できる(*1)
のだそうです。500 gのアルミニウムを得るのに,
どれだけのごみが必要なのか分かりません。
> 飲料水やスナック菓子, 食品, 薬などの
> アルミはくのついたパッケージなどは,
> ゴミとして富山県だけでも年間およそ2.7万トン出ていると
> 推計されています。(*1)
とあるのですが, これだけの情報では, 何とも言えないような。
多分, ごみについているアルミニウムの重量比は
とても小さいように思います。
500 gのアルミニウムを得るのにどれだけのごみがいるのでしょう?

 多分なのですが, 「電気の缶詰」と言われるアルミニウムを,
いろんな処に大量に使ってしまっていることに
問題があるように思います。
大電力を使ってできるアルミニウムの製品への使用について,
耐久性のある物に限る方が手っ取り早いように思います。
飲料容器は再利用可能な硝子(あるいはPET)製にするとか,
菓子袋は, 製造後1箇月以内に食べてもらうことにして,
アルミニウムを使わないようにするとか。
研究団体は, ごみの現実に即した技術を開発されたので,
それはそれで良いと思うのですが,
長期的視野に立った技術も開発して欲しいと思うのでした。

(*1) 殆どの富山の報道会社が, この件を報道しています。
詳しいのは, チューリップテレビです。
http://www2.knb.ne.jp/news/20120110_30904.htm
http://www.nhk.or.jp/lnews/toyama/3065065382.html
http://www.tulip-tv.co.jp/news/detail/index.html?TID_DT03=20120110185912
http://news.bbt.co.jp/topics_detail.phtml?Record_ID=e77e3b405786838bd4b8385d69623138

(*2) http://www.hokuriku-green-energy.org/