文章表現の違いが大きくて可笑しい, SACLAのウェブサイト2012年03月08日 21:00

 文部科学省のウェブサイトに,
SACLAと呼ばれる実験設備についての紹介がありました。(*1)
SACLAとは, 昨日('12/03/07)にできた,
X線自由電子レーザー施設の名前のようです。
この綴で「さくら」と読ませるようです。(*2)
SPring-8 Angstrom Compact Free Electron Laser
の頭文字をつないだ呼び名のようです。(*3)
SPring-8(スプリングエイト)とは,
実験設備の名前です(*4)。
このSPring-8という実験設備は, 直径500 mの粒子加速器の中を
ぐるぐると回った加速電子を減速させて,
その結果出てくる電磁波を使って色々な測定をする設備です。
私が大学院生の時に, これを作っている話を聞きました。
その分野の教員の話を聞くと,
なんだかとてもワクワクする実験設備だという記憶が残っております。
その運転にかかる費用他は, (*5)のURIに書かれていますが,
なんだか気が遠くなる金が使われていますね...。
それはともかく, そのSPRing-8は,
簡単に言うと, とてもまぶしい光(但し, 目には見えない電磁波です)を
発生させて, それを, 調べる物質にぶつけて,
その物質の構造や化学組成の解析に使う装置です。
普通の大学(や企業もでしょう)にある機器ではできない実験が
このSPRing-8を使うと可能です。

 今回このブログで書いているSACLAは,
SPRing-8並のまぶしい光で,
かつ, 位相を揃えてある光を発生させる装置だということです。
このあたりは, 高等学校の理科(物理)でも出てくる話でしょう。
身近な例は, レーザー(LASER)でしょう。
レーザーポインターの光は, 位相が揃っています。
小さな光源なのにあれだけまぶしく輝くのは,
位相が揃っているからです。
SPRing-8のまぶしい光は, 位相が揃っていないのですが,
SACLAの光は揃っている光です。
そのような光が出てくる原理(自己増幅自発放射)を,
私の頭ではまだ理解できない(^^;のですが,
ともかく, 物凄くまぶしくて強い光(目には見えません)を
発生させることができる装置です。

 凄い装置だなあと思うのですが,
それをつくり, 使用し, 維持管理するのに大金が必要です。
税金をそのような用途に使うことの正当性を訴えるためでしょう,
分かりやすく説明する文章が,
インターネットで公開されています。(*6)
それを読み始めたのですが,
最初の頁は, 小学生高学年を対象としているような表現なのに,
その次からは, 高等学校理科(物理)を学ばないと
分からない文章になっています(^^;。
そういう私も分かっていないのですが,
ここの説明を信じれば,
どうやら,
> 化学反応では,
> 分子がダイナミックに形を変えていると考えられていますが,
> どのように変化して起こるのか?
> これまでは, その変化があまりに速すぎて,
> 誰も見ることができませんでした。
> それが, SACLAを使うと見えてくるのです。(*6)
ということなので, 理科(化学)の教科書に書いてある,
原子や分子, イオンが, 互いにどう動いて,
どうぶつかって, それらの組み合わせがどう入れ替わるのか,
という動きを, 直に見るのに近いことができるようです。
なんと素晴らしいことではないですか!

 こういう分野が進むことは, 自然科学の進歩を進めるのですが,
同時に, 自然科学者達は, 原子力発電所を作ってしまい,
対応不可能なのに, そしてできることがわかっていた
核廃棄物, 放射能を環境中に撒き散らしてしまいました。
既に旧ソビエト連邦で20数年前に同様な事故(*7)があったのに。
馬鹿すぎますよね。
自然科学の進歩を手放しで喜ばない自分がいます。
私も自然科学者だったつもりでしたが,
原子力発電所の運転に反対だったにもかかわらず,
その運転停止や廃炉に全く寄与できなかったことが悔しいです。

 今は取り敢えず, SACLA供用開始を喜びます。

(*1) http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/ryoushi/detail/1318185.htm
(*2) http://xfel.riken.jp/
(*3) http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/news/2011/may/topi_03.html
(*4) http://www.spring8.or.jp/ja/
(*5) http://www.spring8.or.jp/ja/about_us/whats_sp8/faq/
(*6) http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/ryoushi/detail/1316011.htm
(*7) http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%83%8E%E3%83%96%E3%82%A4%E3%83%AA%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E7%99%BA%E9%9B%BB%E6%89%80%E4%BA%8B%E6%95%85

[富山] 今年の夏の電力状況。原発なしでなんとかして >> 北陸電力2012年03月08日 21:46

 富山県に電力を供給している北陸電力(*1)は,
隣の石川県志賀町に原子力発電所2基を持っています(*2)が,
今は**幸いなことに**, 運転しておりません。(*3)
これまで, 原子力発電所の存在を前提とした
電力提供をし続けていたため,
原子力発電所の運転が止まると,
供給電力が不足することになる, という説明をしております。(*4)
電気を原子力発電所で作れとお願いした人が
どれだけいたのか(逆に, 反対していた人は多くいるでしょう)
わかりませんが, 一企業の一存で設置する物ではないはずです。
そのまま止め続けることが重要です。
廃炉したって, 過去に発生した放射性廃棄物を
長期間管理しなければいけない(*5)のですから,
そんなものを運転するなんて, 馬鹿すぎます。
それはともかく,
今年の夏も原子力発電所を運転できない場合に備えて,
火力発電所の定期検査を, 夏の供給量大時期からずらす,
という報道がありました。(*6)
これまで原子力発電推進ばかり言ってきた組織ですが,
このようなことをするのは, 当たり前とは言え,
大変ありがたいことです。
感謝します >> 北陸電力。

(*1) http://www.rikuden.co.jp/
(*2) http://www.rikuden.co.jp/atomic/
(*3) pdfファイルです。
http://www.rikuden.co.jp/press/attach/11031105.pdf
(*4) http://www.rikuden.co.jp/gakusyu/ga6_1_02.html
(*5) http://www.rikuden.co.jp/atmqa/5_2.html
(*6) http://www.toyama.hokkoku.co.jp/subpage/K20120308301.htm

[富山] 大学は, 地域密着で本当に良いのでしょうか?2012年03月08日 22:02

 約17年前から富山に移っております。
某高等教育機関に勤めておりましたが,
そこでは, 地域に密着した研究を, 企業との連携を,
よく言われておりました。
教員がそのような意識を持つのは良いことでしょう。
しかし, その高等教育機関に入る学生は,
そんなことを意識して入学してくるのかというと,
それは違うと考えております
(教育学部は例外でしょうか?)。

 今日('12/03/08), 富山大学で,
前期入学試験合格者発表がありました。(*1)
合格者について, 何故か報道機関は,
合格者の出身(ではなくて, 高校在籍地でしょう)を知っていて,
> 一般入試前期日程の合格者1224人を発表した。
> 富山県出身者は332人で,
> 合格者に占める割合は27.1%(昨年30.2%)
だったということです。
大学は, 報道機関に対して, 受験生のこのような情報を
提供しているのでしょうね。
そういえば, 某日曜毎日(^^;あたりは,
大学合格者出身高等学校名を書いていましたよね。
なんであんなことができるのでしょうかね?
私が大学合格時にもこの雑誌には
出身高等学校名が出ていましたが,
私の出身高等学校名はなかったように記憶しております(^^;。
それはともかく, 仮に今回の合格者が皆富山大学へ入学すれば,
富山大学の合格者の70%以上が,
富山県外からやってくる, ということになります。
大学入学によって初めて富山にやってくるという入学生もいるでしょう。
そのような入学生が,
本学は地域貢献のために頑張っています,
とか言われても,
私はそんなつもりで富山大学に入学するのではない,
そう思うのではないでしょうか。

 私が学んだ大学は東京都内にあり,
東京という地域に貢献しようという教育は全くなされていませんでした。
たまたま東京に大学があっただけ, そう私は解釈し,
多分大学の教員もそう解釈していたことでしょう。
今の受験生は違うのかも知れませんが,
それでも, 大学へ入学する時に,
その大学がある地域に何らかの貢献をしようとして入学するよりは,
その大学でやられている学問に興味があって入学する,
そういう学生が多いのが現実ではないかと思っております
(偏差値の都合で, という受験生も多いかも知れませんが(^^;)。

 富山大学への入学生の多くも, そうではないかと想像します。
なので, 地域密着も, ほどほどが良いかと思います。
富山大学に入学したら, 富山県外の就職が大変だ,
ということでは辛いでしょうから。
(その辺りの資料がないので, 実際どうなのかは分かりませんが。)

(*1) http://www.toyama.hokkoku.co.jp/subpage/T20120308202.htm