アトラジン: 光合成を阻害する除草剤2013年01月02日 23:16

 アルバイトの準備をしている間に読んでいた有機化学の本[1]に,
アトラジンという名の除草剤についての話がありました。
アメリカ合州国では,
2003年に3万4千トンが使用されたとのことです。[2]
そして,
> 世界でも多く利用されている除草剤であり,
> 世界80ヶ国で使用されている
ということだそうです。[2]

 具体的には, 雑草の光合成をする過程で,
光が当たった時に起こるべき電子の移動過程を,
この物質が妨害し, 光合成がうまく進めなくなることで,
雑草を枯らすという物です。
動物でたとえるならば,
ヘモグロビンの酸素運搬を妨害する,
一酸化炭素のような物, でしょうかね??
光合成は, 動物の多くではできない化学反応なので,
つまり, この物質を動物が摂取しても,
影響はないと予想されます。

 [1]では,
> これを使わないと農作物の生産量は大幅に減少するだろう
とあります。そして,
> アメリカ合衆国環境保護庁の仮登録許可決定局は
> 2003年に「もしアトラジンの使用を禁止したら,
> 雑草などによりコーン, 小麦, サトウキビの損害は,
> 年に20億ドルを超えるだろう」と発表している。
なのだそうです。

 除草剤や農薬を付かない農業である,
木村秋則氏提唱自然栽培を学んでいる私には,
多分生産量はいくらか減るだろうけれど,
使わない方が良いだろうという思いが強いです。

 [1]の著者であるMcMurry氏は, 日本語訳では,
> 我々はアトラジンを使うべきなのだろうか?
> 全ての決定は, リスクトレードオフ
> (あるリスクを減らすと他のリスクが増える)
> を含んでおり,
> 答は必ずしも明瞭ではない
と書いてあるのですが, [2]によれば,
欧州連合(EU)では, 使用が禁止されています。
同じ物質なのに, アメリカ合州国では使用が可能で,
EUでは使用禁止です。
日本ではどうか? どうも使われているようです。

 この物質については, 蛙の数を減らしている可能性を指摘する
論文が出ています。[3]
僅か1つの除草剤ですが,
環境に大きな影響を及ぼしているような気がします。
早く農薬, 除草剤を使わない農業への転換することと
望みます。

 また, このような化学に興味を抱かせてくれた,
McMurry氏の本に感謝します。この本を読んでいるのは,
アルバイトをするためです。大学学部学生向けの本ですが,
有機化学は専門ではなかったので,
読み直している, ということです。5200円もします(;_;)。
最新版原書は, 187ドル49セントなので,[4]
こちらを買った方が良かったかな(^^;。
ちなみに, 訳本と同じ6版だと, 73ドル64セントなので, [5]
こちらを買うのがお得な気がします。
表紙の河豚の写真が可愛いです(^^;。

[1] McMurry J.原著「マクマリー有機化学概説6版」東京化学同人
(2007)(原書も2007年出版)
[2] http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%88%E3%83%A9%E3%82%B8%E3%83%B3
[3] http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2704165/5428929
[4] http://www.amazon.com/Fundamentals-Organic-Chemistry-John-McMurry/dp/1439049718/ref=sr_1_4?ie=UTF8&qid=1357139104&sr=8-4&keywords=McMurry+Fundamentals+Organic
[5] http://www.amazon.com/Fundamentals-General-Organic-Biological-Chemistry/dp/0136054501/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1357139152&sr=8-1&keywords=McMurry+Fundamentals+Organic

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