[富山] 富大医学生が, イタイイタイ病の原因とされるカドミウムイオンが細胞へ与える影響を数値化 → 論文に2014年01月01日 21:33

 富山に来る前は,
富山と聞いて, 越中褌(ふんどし)を思い出す,
おかしな私でしたが,
イタイイタイ病については,
小学校の社会科で学んだ, という程度で知っていました。
富山に移ってからは, イタイイタイ病については,
あまり意識することはありませんでした。
環境問題の解決を目指して化学を学んだのに,
イタイイタイ病について興味がなかったのは,
もう解決しているから, そして,
カドミウムイオンが除去されれば原因はなくなるから,
もう何か研究する課題はないのだろうと,
勝手に思っていました。
実際には, 医学的というか, 生物学的というか,
生体内の化学的なカドミウムイオンの挙動については,
分かっていないことがあるようです。
北日本新聞の配信[1]は読めませんが,
そのYahoo!への配信[2]の記事には,
その研究についての紹介がありました
(但し, [2]は, 配信記事が消える可能性があります。)。
なんでも, 学部生(と言っても医学部なので, 5年生なんですね)が,
> 富山大が保存するイ病患者の骨と腎臓の標本61例を使い,
> 顕微鏡でカドミウムによる細胞変化を観察。
> 骨が弱くなる骨軟化症と,
> 腎臓へのダメージの進行度をそれぞれ数値化した
結果,
> 腎臓障害が進むほど(つまり, カドミウムイオン摂取量が多い程),
> 骨軟化症の症状も大きくなることが分かった
ということなのだそうです。
これを読んで疑問に思ったのは,
> 関連性はイ病の原因を突き止めた故萩野昇さんら
> 治療に奔走した多くの医師たちが指摘してきたが,
> 基礎研究の分野ではまだ証明されていなかった。
なのだそうです。
この学部生の仕事は素晴らしいと思います。
ですが同時に, なぜそのような仕事をこれ迄富山大をはじめ,
研究機関はやってこなかったのか, 不思議です。
この医学部生は,
> 患者の臓器や骨の標本がまとまって保存されているのは
> 富山大しかない。
> 私たちがイ病の教訓を発信しなければ,
> 風化は進んでしまう。
> 工業化が著しい発展途上の国々に目を向ければ,
> いつカドミウムによる公害が起きてもおかしくない。
> 悲劇を繰り返さないためには,
> これまでのイ病に関する知見や自身の研究を
> 英語で発表していくことが大切だと考えている。
 なかなか素晴らしい学部生です。
英語で発表というのは,
欧米人が, 英語でないと文献を読まないという,
根本的な問題を有するということもありますが,
この学部生は, 既に英語で論文を発表していると言うことで,
なかなかの人のようです。
静岡出身のこの学生が富山大学に入ったのは,
縁があるからなのでしょう。

 何もできない私ですが, 応援いたします。
また, 私が化学者として富山に来て,
そのような研究をしなかったことを反省しております。

[1] http://webun.jp/news
会員制なので, 非会員の私は記事を読めません。
[2] http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140101-00002559-kitanihon-l16